南フランス、「ラ・カステレット」というマルセイユから車で一時間と少しの「ポール・リカード」というサーキットでの撮影が終わりハンガリーのブタペストに移動してこの投稿を書いています。
最初で最後のフランス・グランプリ撮影
「最初で最後」というのはこのサーキットでのグランプリは今年が最後で来年からはもう開催されない事が決定されているからです。
フランスの国旗だらけのこのサーキット、F1のカレンダーの中でもほぼ真っ平で一番つまらないサーキットと言われていて残念に思っている人はフランス人以外あまりいなそうな感じで、大変行きづらく物価も高いフランスのためフォトグラファーでもホッとしている人も話していると多数いました。
「ポール・リカード」というサーキットの名前、サーキットを作った人の名前から取られているのですが、本当に最悪でした。
前回のオーストリア・グランプリの時から道路の交通整備がされておらず渋滞も異次元のレベルで、フランス人は警察すら英語を話そうとしないのでもう本当に大変でした。
さらに撮影の時も僕はどこのサーキットに行っても初めての経験なのでスタッフに色々聞きまくるのですが、スタッフでも英語が話せない人が多く、英語を話す気もないフランス人がここにも居て本当に困りました・・・ので、僕は正直一回経験したので中止されるのは大歓迎です(笑)
もう一つ、メディアセンターでの食事やドリンクの対応もバルセロナの次に最悪でした・・・クッキーに、タンク一杯分がなくなると追加してくれないコーヒー、ぬるいお湯、チョコを塗るだけのパンケーキ・・・よくてほとんどルーのかかっていない米だけの冗談のようなカレーでした、毎日フォトグラファーはみんな飢えていたはずです(笑)
ひたすら続く大失態
ロンドンを出発した日が誕生日で「誕生日にグランプリに出発なんて最高じゃねーか」と思い意気揚々とヒースロー空港へ、朝イチの飛行機にしたので現在話題になっているような混雑も避ける事が出来、スムーズに搭乗、幸先は良かったんです。
飛行機の中はウィリアムズ、アルピーンのチームで満席にも関わらず僕の隣には人が居なくフライトも快適でした。
機内でマスクをする必要もなく、もうマスクをいつ最後にしたのかも覚えていません。
多分日本からイギリスに帰ってきた飛行機の中じゃないでしょうか・・・日本の全体主義をめちゃくちゃ感じます。
マルセイユ空港に到着しいつものように車のレンタルに行くと、僕が馬鹿すぎてレンタカーの予約を6月にしてしまっていました・・・今から5日間車をレンタルするとグランプリ期間なので一番小さい車でもレンタル代が20万円と言われ収支は完全にマイナス、もう本気でロンドンに帰り、続くハンガリー・グランプリも諦めるしかないと思いフライトをチェックすると、そのフライトすらも無く途方にくれました。
とりあえず予約しているAirBnBに行こうかとも思いましたが、グランプリ開催地は郊外と決まっているので宿も同じく郊外、公共交通機関で辿り着くのも不可能でAirBnBのオーナーに事情を説明しますが「当日だから申し訳ないけどキャンセルはできないよ」という返信。
しかも外は灼熱( と言っても体感は日本の夏よりマシですが、僕らUKに住んでいる者達は暑さに慣れていません)、もう途方に暮れて呆然と空港の前でタバコを吸っているとAirBnBのオーナーから「仕事困るだろ?もう俺のワーゲン、金とかいらないから貸してやるよ」と奇跡のメールが。
しかもマルセイユ駅まで来れば迎えに来てくれるという神ぶりで、もう泣きそうになりました(笑)
バスでマルセイユ市内まで行き一時間ほど待つと本当に迎えに来てくれて宿まで連れて行ってくれ、ガソリンを満タンにして車を貸してくれました・・・本当に良い奴で感動しました、オーストラリアを2 年旅をしていたらしく英語も堪能、「旅でたくさん助けられたから俺も助けなきゃ」という最高にナイスガイで、宿のクオリティも高く快適な滞在でした。
車を手に入れたのは良かったのですが金曜日、夜中サーキットから帰ってくると車のライトを消し忘れ土曜日の朝に出発しようとエンジンがかからないという二度目の大失態。
また絶望的になりオランダ人の仲良いフォトグラファーに一緒に連れて行ってもらおうと思いメールすると「もうサーキット来てるよ・・・」という返事で「終わった」と思いましたが、車をジャンプスタートしてくれる人を探すかないと思い、道を行ったり来たり人を探すことに。
土曜の朝で気温30度越え、汗だくになりながら歩き回りますが誰もおらずまた絶望していると向かいの家からおじさんが出てきて「うろうろ何してんの?」と声をかけてくれ事情を説明するとヘルプしてくれるという奇跡がまた起こりグランプリにも間に合いまた助けられ、フランスは未だに全然好きじゃありませんが南フランスは良い人ばかりに出会い好きになった・・・かもしれません。
グランプリ後の月曜朝にハンガリーへ行くため空港に向かう時も、田舎すぎてウーバーなどのアプリも使えず、「今度こそ終わった」と思っていると道路工事に来たおじさんがタクシーを呼んでくれてまた助けられる始末でした・・・。
と、長くなりましたがとにかくトラブル続きのグランプリでした。
木曜日
水曜日にマックスという宿のオーナーに助けられ1日周りをブラブラ、木曜にサーキットへ行きます、普段はサーキットを一周歩くのですがこの日はあまりの暑さに断念しました、サーキット内の気温は55度を超えていたらしく、それは暑いはずですよね。
ドライバー達の朝の様子を一気に
角田君(Yuki Tsunoda)、英語がめちゃくちゃ上手くなってるのを感じました
角田君の両親と話しましたが凄く良い人達でした、彼はまだ来年の契約更新は発表されていませんが、おそらくすでに世界で一番知られている日本人男性スポーツ選手、息子をどれだけ誇りに思っているんでしょうか・・・
大谷翔平などはアメリカや日本の野球をやる世界でしか知られておらず、残念ながらヨーロッパや南米、アフリカで彼を知っている人を聞いた事がありませんし、サッカー選手でもまだまだ有名な人はいません。
本田圭佑すら、イタリア人でも「そんな奴いたっけ?」というのが現実ですし、多分現役サッカー選手で一番有名なのは香川真司だと思います。
これほど有名な角田君、日本では全然知られていないのが僕には意味が分かりませんし、その話をすると他のF1フォトグラファーたちも目を丸くします。
他のドライバーからも「ユーキサーン!」と呼ばれていたりしていて、なんか見ているこっちも嬉しくなります。
角田夫妻
バルテリ・ボッタス、僕らメディアにも配られたこのバケット・ハット、相当気に入ったのか記者会見の時などもずーっと被ってました(笑)
フランス人のピエール・ガスリーは最後の地元開催ということで気合が入っていたはず、グランプリの結果は残念なものでした・・・
セバスチャン・ベッテルは相変わらず自転車通勤
ルイスを一気に、今回で自身300回目の節目となるグランプリ、毎回彼が入ってくると一気にパドックの雰囲気が変わります
後にいる大人気パーソナルトレーナー、アンジェラさんがこの時握手してきてくれて感動しました・・・
歴史上最高のドライバーの一人でアイルトン・セナの元チームメイト、アラン・プロストも遊びにきてました、身長160cmくらいしかなかった気が。
マックスとケリー・ピケット、超美人でお父さんは元F1世界チャンピオン、ネルソン・ピケット
角田君の師匠、アレックス・アルボン、ハーフタイ・ハーフイギリス人、彼女はプロゴルファー
相変わらず一番ファンに時間を使ってあげるダニエル・リカルド
ランド・ノリス
パドック内の軽食をもらったり休めるエリア、毎日僕も貰ってました、暑さの中かき氷に救われました
ピットレーンの名物巨大ゴリラ、なんなんでしょうか
アストン・マーチンが初めてレースをした1922年から今年で100周年という事で、初代レースカーと現在の車を並べてセブが記念撮影、この車、ブレーキペダルもシートベルトもないという恐ろしい代物です
金曜・土曜 -フリー走行・予選-
いつもフリー走行の時のピットレーンに入れるパスが当たるんですが、フランスはここでも運が悪く、初めて3回ある抽選が全部外れてしまいました・・・。
他のフォトグラファーは何人かで組んで仕事をしているので一人が外れても他がいるのですが僕のように一人でやっている者には大打撃です・・・。
なのでピットレーンの日陰で撮影が出来るのを期待していましたがずーっと炎天下の下でも日焼け止めを塗るのが嫌いなので、人生で最も日焼けしていて昔のギャル男並みに黒くなってしまいました。
話は戻りフリー走行、予選の様子を
ランド・ノリス、このサーキットはフランス国旗色を出し過ぎ
セバスチャン・ベッテル
チャールズ・ルクレール
ケビン・マグネッセン
マックス・フェルスタッペン、生で見れば見るほど惹かれてしまう魅力があります。
凄く男らしく、自然体なのを感じるんですよね、未だ25歳・・・
土曜のタイムアタック予選は「こんなもんだろ」と言わんばかりのチャールズ・ルクレール、圧巻の走りで日曜のポール・ポジションを獲得、優勝が期待できます、これで今年のシーズンが更に面白くなるだろうと思いました。
日曜 -レース-
まずはドライバーズ・パレードから、レッドカーペットを歩いてそれぞれクラシックカーに乗り込みます、一人一人ドライバーがいるんですけど、ルイスのドライバーはルイスが乗った瞬間にサインをお願いしていました(笑)
ピエール・ガスリー、フランス人は大歓声を送ります
マクラーレンのランド・ダニエルコンビ、楽しそう
ジョージ・ラッセル
どこに行っても超人気のルイス
マックスも人気
セバスチャン
この後一時間ほど空いてレース、グリッドパスは当たってスタート前を撮りに行きます。
暑さ対策で車を冷却、セバスチャンが準備中、氷が羨ましいほどの暑さでした
ダニエル・リカルド
チャールズ・ルクレール、日本グランプリでのレース中に事故で死んだ元F1ドライバー、ジュールズ・ビアンキとの思い出の写真を散りばめた特別なヘルメット、彼の命日でした
これは未だに誰かわかりませんがめちゃくちゃ写真撮られてたので僕も撮っておきました
ミック・シューマッハ、みんな暑さでバテてます、それでも日本やシンガポールの暑さよりマシなはず
ランド・ノリス
マックス・フェルスタッペン
セバスチャンとルイス、この二人の世界チャンピオンが並ぶと迫力がすごい
国歌斉唱が終わると、スタートを撮影しようと決めていた場所までダッシュ、レースが始まります
綺麗なスタートで先頭はチャールズ・ルクレール、マックス、ルイスと続きました、最初の方はチャールズとマックスのバトルが続きます
角田君は一周目でぶつけられてしまい、せっかくの上位スタートがダメになってしまいました・・・
もう一人のフェラーリ、カルロス・サインツはエンジンの交換でペナルティ、最下位スタートでしたが鬼の15台抜きを見せて5位でフィニッシュ、「Driver Of The Day」を獲得、凄かったです
一方先頭チャールズ・ルクレール、爆走でこれはもう絶対優勝するな、という雰囲気
と、残り30周以上を残していきなり事故りました・・・写真は撮れませんでしたが、会場の大モニターの映像とスピーカから彼の「NOOOOOOOOOO!!!!!!」という叫び声があまりにも悲痛でこっちが泣きそうになりました・・・大観衆からも悲鳴が上がります。
その後はマックスがダントツでルイス、もう一人のメルセデス・ドライバー、ジョージ・ラッセルとレッドブル、セルジオ・ペレスが激しいバトル、結局ラッセルが抜いてこのままか?という雰囲気
結局そのままトップ3は変わらず、マックスの優勝、ルイスは300回目のグランプリを2位で終え、メルセデスはダブル・表彰台でした。
今まで運がいいのか悪いのか、色々波乱のあるレースが多かったのですがフランスは特にルクレールの事故以外の波乱はないレースでしたが、色々とにかく過酷な一週間でした(笑)
次回は凄く面白いレースが予想される今週末のハンガリー・グランプリの様子を書こうと思います
Jay