イギリスでのビジネスの始め方すべて-その③ BARについて –

イギリスのバー

82回目の投稿になります

 

ビジネスを始める際の物件の交渉、契約、そしてソリシターについてを書いた前回の続きです

諸々の手続きが終わり鍵と契約書をもらってもまだビジネスを始めることは出来ません。

 

COURTNEY PINE/ THE JAZZSTEP

店の登録

日本ではどういう手続きをするのか正直わかりませんが例えば「A」という店名だったBARを手に入れ名前を「JAY’s BAR」と変えたい場合の手続きは地元自治体に申請する事になり国に対しては何もする必要はありません。

まずお店を登録する時に「物件監督」というのが必要でアルコールを販売する免許を持っている人の登録が必要になります。

この免許の取得には2日間(確か)講習に行きテストに受かれば良いのですが日本食レストランなどの経営者は持っておらず、前回の記事でも書いた「ソリシター」という人達にお金を支払い名前を借りている人が多いそうです。

個人的には講習をすれば簡単に取得出来るので全くの無駄金だと思いますし、正直これくらいの講習を理解出来ない英語力で自分でビジネスをする勇気の方が凄いと思います。

ライセンスについて

物件が持つ「ライセンス」というのが日本では馴染みがないと思います。

非常に細かく記載されておりオーナーでも「え、そんな事書いてある?」などという事も起きるかもしれませんので契約時に良くチェックする必要があります。

営業時間の決まり

日本は物件があれば保健所から免許を貰えば好きな営業時間に好きなように営業出来る印象がありますが正解でしょうか?

イギリスではパブは法律では11pm閉店というのが法律で決められています。

これはなかなか厳しく、例えば店の向かいにいつも騒音で苦情を言うアホが居るとします、彼・彼女がお店が11時過ぎにお酒をサーブしている所をビデオに撮って自治体に送ろうものならそれだけで閉店か結構な額の罰金を課せられる可能性もあり気を付けなければいけません。

新しく「バーやパブが近所にあるのを知りながら越してきた者は文句を言えない」と言う法律が出来たのですが元々住んでいた住人が弁護士まで付けて苦情を出し裁判沙汰になるなどかなり面倒臭いですよね。

地元の人達と仲良くなるのも大切な事で、地域に愛されるお店ならば一人が苦情を出しても他の住民のサポートがあれば自治体の頭の固い公務員たちも理解を示してくれる事もあります。

営業時間の延長

パブの営業は法律で11pmまでと定められていると言いましたが、延長をする事も出来ます。

これには信じられない労力が必要でお店の周りに住んでいる人たちの家に自分達で手紙をポストし、お店の営業時間延長の申請をしようと考えている事を伝えます(ここで反対があればアウトです)。

ここをクリアーしたら次はお店の窓に1枚、周りの壁や電灯の柱などに5枚ほどの同様の張り紙を最低1ヶ月貼り「地元住民に予め知らせた」という証明もしなければなりません。

物凄い労力なのですがロンドンの人々は本当に良く飲むので11時閉店が12時、1時と伸びれば伸びるほど良いと思いますがそれだけ問題も付きまとってきます。

お店のドアは夜10時には基本的にどこも閉めなければいけない事になっていて「ドアを閉めた状態で計測器で音量が◯◯デシベル以内に収まる事」と決まっており、防音設備やその他諸々のやらなければいけない事がたくさんあるのでなかなか挑戦しようとする人が少ないのが現実です。

細かい条件

条件の事は英語でコンディションというのですが治安のあまり良くないエリアなどは「必ずセキュリティーを2人ドアに立たせる事」「ライブミュージックは10時に終わる事」「セキュリティカメラの映像は28日間は必ず保存する事」などとても細かく書かれています。

これも地元自治体はもちろん、運が悪いと周りの「よほど暇か自分の人生にハッピーではない変人(なぜかイギリスではこういう言い方をします)」がモニタリング、チェックをしているので守らずにトラブルになるお店の話を常に聞きますね。

クラブやカジノ、ストリップなどは特別なエンターテイメント用のライセンスを別に取る必要がありますが、このあたりを一からイギリスで作ろうとする日本人はなかなか居ないと思うので触れません。

 

最後に面白いのが、イギリスで食べ放題はポピュラーですが飲み放題は法律で禁止されていて理由は「すぐに死人が出る」からだそうです(笑)

 

そのうちイギリスの飲み文化についてももう少し詳しく書いてみようかと思います。

 

お付き合いありがとうございました

 

Jay