イギリスの王立奴隷貿易会社の歴史と世界が変わる時

ボンドストリート

45回目の投稿になります。

 

写真はボンド・ストリートという未だ全ての店舗がクローズしたままの高級ブランド街です。

ここ4日間ほど日々3時間睡眠でプロジェクトをやっていてブログが止まっていたのですが、ちょっと信じられない様なことが起こり(僕にとっては)、近々ニュースをシェア出来るかと思います。

 

5月にはこのブリストル出身のバンドとUKツアーをする予定で、先週の土曜日はベルリンでライブの予定でしたが当然キャンセルになりました。

UNDERCOVER HIPPY/ ONE HEART ONE LIFE

 

イギリスの奴隷貿易

ロンドンから西へ2時間と少し運転したところにブリストルという街があります。

とても美しい海沿いのウェールズとの境目にあり、音楽やアートが盛んな街です。

バンクシーもブリストル出身ですね。

パンク・レゲェのシーンが熱い街で、僕らのバンドはロンドンよりもブリストルでライブを多くしているかもしれません。

 

このブリストルという街はエドワード・コルストンという人の「ゆかりの地」でストリート、建物など彼の名前が付けられているものがあります。

17世紀彼はスペイン、ボルトガル、イタリア、アフリカとのオイルに衣類、ワインやフルーツの貿易商として成功を収めていました。

「ロイヤル・アフリカン・カンパニー」という恐ろしい名前の当時王立でイギリス陸軍・海軍までも導入し始まった奴隷貿易会社のメンバーになり、副総裁まで上り詰めます。

この会社は「DUKE OF YORK」という爵位(現在はアンドリュー王子)につくルパート王子が1660年に立ち上げた会社で悪名高い東インド会社などと並び奴隷貿易を一手に収めるものでした。

東インド会社は、文字通りインド洋沿いの国々、インド近辺諸国、さらには中国南部からも奴隷を輸出していました。

僕の大親友のスコットランド人の彼女が東インド会社創設者たちの子孫で、誕生日に数億円のボートを貰うなど桁違いの金持ちでした。

 

話が少し逸れましたが1680年、エドワード・コルストンがメンバーになったロイヤル・アフリカン・カンパニーは西アフリカ諸国を縄張りに多くの奴隷を輸出したそうです。

 

そんなコルストンは奴隷貿易で得た利益からロンドンやブリストルの病院、学校、教会などに多額の寄付をしており「ブリストルに最も恩恵をもたらせた偉人」としてブリストルの街の中に大きな銅像が建てられています。

 

彼が奴隷貿易で「輸出」した奴隷の数は84000人と記録されそのうち16000人はカリブ海に着く前に死んだそうです。

奴隷船内の様子

奴隷船内の様子

 

ブリストルからイングランド全土へ広がる動き

銅像というのはその人の功績を賛美するための物です。

数年前から「エドワード・コルストン像の撤去を」と市民は声をあげていますが、コルストンはボリス・ジョンソン率いる保守党の政治家でもありました、当然銅像は撤去されません。

前回の記事でBLACK LIVES MATTERについて書きましたが、これは未だ続いていて先週の土曜、日曜とそれぞれ国会議事堂、アメリカ大使館前で行われていました。

他にブリストル他イングランド12の都市で、スコットランドではエジンバラとグラスゴーで行われています。

 

ブリストルでデモ隊が向かった先はエドワード・コルストン像でした。

デモ隊は銅像を破壊しブリストル湾に投げ入れました。

銅像のあった所に立つ子供の写真を上で載せたUNDERCOVER HIPPYのボーカルが撮ったフェイスブックの写真を拝借してきました。

パワフルな写真だと思います。

ブリストル広場

 

マンチェスター大学歴史学教授でありBBCでドキュメンタリー監督、ライターなどもやるディビッド・オルソガという人のコメントは、

「銅像というものは『偉大な男が偉大な事をした証』だ。この銅像の男は奴隷商人でただの殺人鬼だ。」

ブリストルの住民投票によってポール・ステファンソンという人の銅像が建てられることが決まりました。

 

1937年生まれの彼がバス会社に勤めていた1963年、そのバス会社が「色付きは雇わない」と言い出し彼と仲間たちが会社に対し60日間の抗議を行いブリストル市民は彼らを応援した結果、バス会社は肌の色に関係なく仕事を与える事を約束したのですが、これがイギリスでも最初の黒人による差別に対する運動でした。

パブに「黒人・アイルランド人・犬出入り禁止」と外に張り紙があった時代、黒人を理由にバーテンダーがビールをサーブしないため「飲むまで帰らない」と言い張り警察に逮捕されたというのも有名な事件(今ではどこでも目にする光景)なのですが、当時黒人がやるのは相当の勇気が必要だったと思います。

 

こういったエドワード・コルストンやポール・ステファンソンの様な人たちの事を教育過程で正しく教えることが差別をなくすための第一歩だ、という教育学者がたくさんいますが白人至上主義者たちは気に入らない様です。

 

後々振り返った時にこの日は歴史的な日になるかもしれないとイギリスでは結構盛り上がっています。

僕も周りもブリストルの話を聞いた時は結構興奮しました(笑)

イギリスは奴隷制度というものを作った張本人で「大英博物館」などと言いますが要は略奪の歴史を見せているだけでイギリス人の中には「あんな場所無くなれば良い」という者も多いですし、実際ギリシャが返還して欲しいとイギリス政府に嘆願しても「OK」はなぜか出ません。

 

とにかく、この日が新しい世界を作る第一歩になれば良いと思います。

 

お付き合いありがとうございました。

 

Jay