僕が受けてきた差別 / 海外で日本人として暮らす事

ロンドンブリッジからの夕焼け風景

42回目の投稿になります。

 

写真はWATERLOO BRIDGEから昨日撮ってきた風景です。

THE KINKS/WATERLOO SUNSET で有名な橋です。

 

日本でも黒人ラッパー、ジョージ・フロイドが白人警官に殺害された事件は報道されているかと思います。

 

イギリスでも国民の怒りは相当なもので、「BLACK LIVES MATTER」を合言葉にデモが起きています。

アメリカはまさに暴動の炎に包まれていよいよ終わりかという様ですが、今回は僕が長く海外に住んできて差別について経験した、学んだ事を書こうと思います。

 

差別問題

 

ロンドンに住んでいると疑いそうになりますがイギリス国内全体で見ると黒人の人口はわずか3%です。

白人と黒人が同じくらいの割合で居住しており、信じられないほどの金持ちからヘロイン中毒のホームレスまでがいる地域で10年も生活をしてきたおかげで色々なものを見てきました。

 

今日散歩中に黒人の友人に会い話をすると差別問題について「差別が悪化しているわけじゃなくて、撮られるようになってきただけだよ」とどこかの映画俳優のような事を言っていましたがその通りだと感じます。

 

今でもイングランドでは黒人という理由だけで白人よりも仕事を見つけるのは大変ですし、子供の頃から教育の場でも差別を見て受けてきた子達の人生は非常に気の毒に思います。

 

友人と近所のパブなどで鉢合わせて会話が始まり「昨日○○に行ってきたんだ」と言うと「良いね、そのエリアに俺たちはいけないよ」と真顔で言われます。

 

バーで仲間達と飲んでいて店が閉店した後に物凄い金持ちの白人の友人の家に行った時の事です。

白人5人、黒人4人、そして僕の10人で行きました。

もう空が明るんできた頃に白人達は全員眠っており僕と黒人達で飲んでいて「寝て行く?帰る?」と聞くと、リビングの壁一面を覆うほど大きな友人の先祖の肖像画を指差し「スレイブ・マスターが見張っているから寝れないよ」と言いました。

スレイブ・マスターというのは奴隷商人の中でも奴隷事業を牛耳っていた大商人達の事です。

数百年後にスレイブ・マスターの家で奴隷の子孫と日本人が酒を飲んでいるというのも面白い話ですよね。

このセリフは僕の中で相当な衝撃でしたが今まで黒人と白人の「差別だ、いや差別ではない」という口論から殴り合いにまで発展するのを何度も見てきました。

 

今でも差別は確実にあり子供の頃から経験します。

日本人が「そんな何百年前の事をなぜ引きずってるの?」と言うのを何度も聞きましたがそういう問題ではないんですね。

肌の色が黒いというだけで子供の頃は物がなくなると犯人にされ、大人になると面接に落とされ、警官に何もしていないのに殺されるというのをずっと見てきた人間にそんな事は言えないはずですし、問題はとても根深い物です。

 

西インド諸島、特にジャマイカなどは元々黒人は一人も住んで居ない島で、原住民アラワク・インディアン達を皆殺しにしたイングランド人がアフリカから連れてきた黒人達を奴隷として生産する場所でした。

 

今住んでいるほぼ全員の先祖は元々奴隷だったという事です。

 

僕のバンドのベーシストは黒人なのですが日本が大好きな彼は「日本の家族は自分の先祖の事を知りたかったら調べられるんだろ?そんな素敵な事はないよ、俺たちは自分がどこにルーツを持っているかなんて調べるのは不可能だから」と言っていました。

住むエリアに寄り人口の割合は変わり、特に田舎の裕福な家庭で育った僕のバンドのボーカルはイングランド生まれイングランド育ちにも関わらず、12歳くらいまで黒人を見た事が無かったと言います。

日本に住みながら海外でのように差別を考えるのは難しいと思いますが、是非ジョージ・フロイドのニュースを追ってみてください。

完全に個人的な意見ですが、白人の子、黒人の子両方に同じ様に教育と人生のチャンスを与えない限りこの問題は解決しない気がします。

 

僕が受けた差別

 

なぜか黒人の人達は日本、韓国、中国の男を全て「チャイナマン」と呼ぶため、笑って済ませられない僕は何度も掴み合いの大喧嘩をしてきました。

バーで酔い、日本人だから大人しいだろうとドリンクの氷を投げて来るアホがいた時は乱闘の末店から叩き出し、他の客からはスタンディング・オベーションを頂きました。

今はもうこのエリアで変な事を言って来る奴はほとんどいませんが最初の3、4年は戦いの日々でした。

別に自分が馬鹿にされているのに気付かないならば良いのですが、気付いたなら何か言うべきだと僕は思います。

例え日本語で捲し立てるだけでも良いと思います(本当に)。

世界には色々な人種がいる事を教えてあげましょう。

僕は大袈裟ではなく100人以上は教育してきましたが皆んな分かってくれましたし、その後友人になった人も多くいます。

日本の教育も問題はありますが、日本人の持っている道徳は間違いなく世界に通じる武器だと思います。

海外で日本人として暮らすこと

 

数年前に僕の小学校一年生からの友人が教師をしている高校で英語の授業をしに行った時のこと、授業を見学しているイングランド北部ニューキャッスル出身の先生がいました。

日本人離れした体格の彼を馬鹿にしたアダ名なのでしょう「お、看板だ」と言う生徒がおり、ブン殴ってやろうかと思いましたが踏み止どまりました。

その時僕が心を落ち着けた後に話した事は「海外で気を付けている事はなにか」という質問に関しての答えです。

「この静内っていう田舎街にイギリスから赴任して来た先生は、イギリスに帰って『日本はどうだった?』『日本の高校生ってどんな感じ?』って聞かれるはずだよね。この先生は日本の高校生は皆んなの事しか知らないんだから、皆んなの印象を日本の高校生を代表するイメージとしてイギリスに持ち帰るんことになるよね。『日本の高校生は最高にクールだよ』って自分の国の人に伝えて欲しいと思わない?」

2020年のロンドンでも「Jayが初めて実際に接した日本人だよ」という人が男女問わずほとんどで僕のバンドメンバーも例外ではありません。

僕たちも出会った事のない国の人と出会い、話をしたあと少なからずその人がその国の印象として残るものです。

日本人の印象が良い物であって欲しいと考えるのなら僕たちも自分達の海外での立ち振る舞いは気にする必要があると思います。

「そんな事を言っていると疲れない?」とも言われますが、海外に日本人として住むという事はそういう事だと思っているので平気ですし、友人の前まで気にしてはいません。

ですが正直外人相手に日本にいる時のように胸を張れない男性と会ってすぐ外人の男に抱かれる女性は日本に帰って欲しいです(笑)

とにかく、日本の印象を良くするのに越したことはありませんし、自分の故郷やこれから世界に出て行く世代の事を頭の片隅に置いておく様にしています。

 

 

写真を撮るのが楽しくて毎日出掛けていますが、いったい何のために撮っているんだと悩んでいました。

来週か再来週あたりからヨーロッパの難民キャンプを旅をして周って写真に収めてみようかと思います。

 

 

お付き合いありがとうございました。

 

Jay