イギリスの医療制度 / 人々優しさ/ ロックダウンに向き合って

第3回目の投稿になります。

 

写真は今はしばらく見れなくなってしまったEast Londonのマーケットの光景です。

 

 

昨日買い物に行ったら、5日振りほどに卵が棚に並んでいたのですが、卵を見て感動する日が来るとは思いませんでした。

 

さて今日は明るい内容をまず書いていこうかと思います。

そのあとにロックダウンの前、最中の心の対応について書きます。

 

 

 

まずは医療の話を。

 

こちらはsubscribeしないと読めないかもしれませんが、ファイナンシャルタイムズの記事ではイギリスは1000人に対するベッド数は2。日本では7と書いてあります。

 

https://www.ft.com/content/effd0dae-655f-11ea-b3f3-fe4680ea68b5

 

 

現在の保守党政権下で、NHS(国営健康サービス)は不遇されてきましたが、イギリス人に、自分の国の何が誇りか?と聞くと「NHSだ」と答える人は少なくありません。

 

 

全国民が医療サービスを無償で受けられると言う事は確かに誇りに思うべき事だと思います。
正直衛生面など日本の病院に質こそ劣りはしますが、誰もがお金の心配をせずに病院へ行けるのは素晴らしい事ですよね。

 

 

因みに僕もイギリス永住権保持者なので病院は無料です。
例えばガンになって手術、長期入院になっても、全て無料なんです。

 

 

そんなNHSですが、保守党政権下でプライベート化されアメリカにあわや売却か、というところまでいったりと、ここ数年は決して運営状況が良いとは言えません。
それに加え医師、看護師の給与が削減されました。

 

 

看護師はもっと酷く、アメリカに行くと待遇が倍になるので海を渡ってしまう人が多く、深刻な人手不足が続いています。
数年前に警官の人数削減が始まった時期ほどから、「おかしいぞ」とは感じていましたが日本と同じく、イギリスもどうやらいい方向に進んでいるとは思えません。

 

 

まず最初に、政府がすでに引退している医師、看護師達の中でこの状況を乗り切るまでNHSに復職可能な人材をボリスがテレビの生放送の会見で募集しました。募りました。募集、募る・・・??

 

こちらはBBCの記事です

Coronavirus: Tens of thousands of retired medics asked to return to NHS

 

結果、65000人の元医療従事者達が集まりました。
ほとんどは年配でお孫さんがいるような歳の方達です。

 

飛行機会社のCAの方たちの中ではフライトが無くなったので、First Aidの免許を持っている方達は今、病院に入り医者や看護師のサポートとして働いています。

 

さらに、医療品、食料品の輸送、医療従事者へのサポート、一人で生活が出来ないお年寄りや障害者のケア、ドライバー、それにKEY WORKER(医療、物販、公共交通機関、食料品関係など、社会を回すギリギリの従事者)の方達自体へのヘルプなど、25万人のボランティアを募ったんです。

 

結果、わずか1日のうちに75万人が集まりました。

 

ロンドンのメイフェアにある最高級ホテルの一つ、The Dorchester Hotelなどは院内感染してしまった医療従事者の自己隔離のためのスペースとして受け入れを開始しています。

こういう部分を見ていると、イギリスは凄い国だなぁ、と思いますし、底力のようなものも感じます。

 

ですが、これほどNHSを冷遇してきた保守党政権が、NHS従事者に対して連日賛辞を投げかけ賞賛するのは皮肉というか、少し違和感を覚えます。

後日書こうと思いますが、このNHS医療制度はコロナ後に残る数々の問題の中でも、真っ先に対応されるものの一つになるでしょう。

 

他にも、現在イギリス全土に45000人ほどいるホームレスの人達は、一人残らずみんなホテルの暖かい部屋の中にいますし、近所のお年寄りの買い物の手伝い、KEY WORKERの人達のためのベビーシッターをするなどしている一般の方もいます。

 

 

日本で休校になった時に、ニュースでは子供の世話が大変だ、という記事を良く見ました。

 

人の親でもない僕が言うのもおかしいのかもしれませんが、イギリスは共働きが多く、シッターも高く、しかも子供が12歳になるまでは学校への送り迎えが義務付けられており、さらに12歳以下の子供を一人で家に残すと、親が虐待行為をしている事になり、逮捕もありえます。
これは日本で考えると、一時期の学校閉鎖より大変・・・なのではないでしょうか?

 

12歳になるまで朝夕の学校への送り向かいが必須で、家での子供のお留守番はNGです。
ではイギリスは皆さんどうしているのか?

 

近所で助け合うのみです。

 

隣の家の人に、親が仕事で行けないから代わりに子供を迎えに行ってもらったり、何組かのお父さん、お母さんが相談して交代で子供迎えに行ったり、留守番も近所の人達と順番をまわしたりと、これが当然の事として成り立っているところも、温かいなぁと感じます。

 

先週の土曜日、文字通り血を流し働いている医療従事者の方達に感謝の気持ちを込め、夜の8時ちょうどにロンドン中の家の窓から一斉に拍手をしよう、というイベントがあったのですが、ロックダウンとは不思議なもので、余りにも現実離れした状況の中でまるで映画の中のセットにいるようで、自分の他に人が存在しているのかわからなくなるような錯覚をする瞬間があるんです。

 

映画、The Truman Showの主人公のような気分でしょうか。

 

だから僕も拍手に参加しようと思いバルコニーに出て、周りからたくさんの拍手、指笛に歓声が聴こえてきた時は、「ああ、一人じゃないんだな」と感じました。

 

きっと全国民の心が一つになった瞬間だったと思います。

同じイベントが昨日の夜の8時にもありましたが気のせいか、昨日の拍手は先週よりも少しだけ長かったような気がしました。

 

世界はどこの国でも医療崩壊が懸念されていますが、これは残念ですが起こります。
どの患者を救い、誰を死なせるかの選択の連続を迫られる事になるという事は相当覚悟が必要ですね。

 

ここからはロックダウン中にどう対応するかという事を書こうと思います。

 

コロナに感染していなくても、例えば僕の友人の働いていたバーは、マネージャーを残して全員がクビになりました。
エンターテイメント、アート系の友人は、僕自身含めて仕事は全くありません。
大手企業を相手にしているフリーランスの友人はまだ動けていても、小・中規模企業を相手にしていた友人たちは苦戦しています。

 

仕事の話をするとキリがないですが、苦しいのは自分だけではないし、どんな時にもポジティブなサイドとネガティブなサイドが

あるのを忘れないで前向きな精神状態でいましょう。

この状態でネガティブになるのは危険です。

 

この事態で置かれる立場はそれぞれ変わると思いますが、現在、2週間目のロックダウンに入った感染拡大中のロンドンに住み、日々あらゆる業種の人たちと話した中で分類される立場がはっきりとしてきます。

 

1. 冷静に考えると完全に行き止まりが見えてしまう人

 

2. 期間によっては耐え切れるかもしれない、と考えている人

 

3. 期間よっては耐えれるだろう、という自信がある人

 

4. なんの問題もなく、余裕のある人

 

最初の、1. 行き止まりが見えてしまっている人

 

これはもう、僕なんぞではどうしていいのかわかりません。

自分に置き換えて想像すると絶望的な気持ちになります。
政府の対応が間に合わないのは目に見えていますから、仲間に頼るべきだと思います。

 

絶対に守らないといけない仲間達がいるので、返済は気にせずに声をかけましたが、そう言ってもらえるだけで物凄く安心すると言われました。

 

こういう助け合いは、これからきっと必要になってくるでしょう。
デリケートな問題ですが、皆さんにも本当に大切な仲間とは後のことを話し合っておくべきだと思います。

 

バルセロナでは略奪が始まってますし、ロンドンでもいつ治安が悪化するかわかりません。
これは政府の対応に対する怒りから生まれるモノです。

 

まだ3週間と言われている期間の半分ですが、これから気になるところです。

 

2. 期間によっては耐え切れるかもしれない、と考えている人

3. 期間よっては耐えれるだろう、という自信がある人

 

これはもう同じです。3の人は2の人を見て、心の中で優越感を持っているかもしれません。
立場は同じです。

 

非常事態宣言解除のタイミングも、世界が元に戻る時期も、誰にもわからないんです。
これはもうこの緊急事態宣言中にどれだけ有意義な時間を過ごしたかで変わってくると思います。

 

病んでしまっている人も多く、精神科の電話が鳴り止まないそうです。
自分は大丈夫と思いつつも、誰とも会わずに家に閉篭もるのは気が滅入りますし、人間はやっぱり、そんなに強くありません。

 

事業が見えない辛さ、仕事が見えない辛さ、未来が見えない辛さ、友達に、恋人に、家族に会えない辛さもあります。

 

ですがどうする事も出来ないのが現状です。
頭を切り替えて、正常に戻った時の準備を全力でするのがベストだと思います。

 

今どれだけ考え、出来る事をするかで変わってくるはずです。

 

友人に、接客業の彼のビジネスはこの事態が収束しても客足が元に戻る兆しが見えるとは思えないから悩んでいる、と相談されたので、回復すると思えないのならば、家族も居ない事だしダメージを最小限に抑えて会社を畳み、コロナ収束までを次への準備期間に当てたらどうだ、と意見しました。

 

店を畳むのがどれだけの決断かよく分かっているつもりですが、これはほんの一例で、これから大きな決断をそれぞれがしなければならない時がすぐにやってきます。

 

僕はこの準備に出遅れて一週間、ずっと暇だ暇だと文句ばかり言い廃人のようになっていました。
映画が見たかったはずなのに、本が読みたかったはずなのに、何もやる気が起こらないんです。

 

そこで生活を変える必要があり、行き着いたのが筋トレと意味があるのかまだわからないブログだったので説得力があるのかはわかりませんが(笑)

 

周りの大半の人が、「この先どうしよう」「暇でやる事がない」と言い出す状況に、必ずなります。
その中で「これをやるつもり」「これをやっている」という物があるのとないのでは大きな差がつきますし、この準備は今からでも出来ます。

 

何か一つ、挑戦しようと思っていた事や気になっていた事など、今から本気で探し始めるのをお勧めします。

僕はまだ見つかっていませんが、仕事につながる事だと更に良いので、誰か教えてください(笑)

 

4. なんの問題もなく、余裕のある人

 

こういう人たちも友人含め、確実にいます。

 

むしろ仕事が忙しくなったという友人や、自分は何も変わらない、という人達もいます。

彼らも、未来が不透明な今の世の中でやる気を出して仕事に打ち込むのは辛いと言っていますが、大半の人よりも確実に恵まれた状況にいますよね。

 

なにも生き死にまで考えなくとも大丈夫という人でも、このロックダウン期間中はお菓子を食べてNETFLIXばかり見て太りました、などという事にならないようにメンタルは準備をした方が良いと思います。

 

何度も言いますが、想像以上に心が打ちのめされる人が多くなります。

 

この非常事態宣言が発令される前から始まった困難な状況は、解除まではもちろん、その後もしばらくは続きます。

多少の身の回りの準備は必要ですが、実際にロックダウンに入って感じるのは、一番大切なのは心の準備でした。

 

明日は、フランスで噂されている非常事態宣言の解除方法、時期、非常事態宣言で見えた人々の意識と社会の変化について書いていこうかと思います。

 

今日は気づいたらかなりの長文になってしまい申し訳ありません、お付き合いありがとうございました。

 

 

 

Jay